日々小論

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 ロシアに関する日本人の意識には、大きなねじれがある。

 内閣府の調査では「親しみを感じない」が8割で、「親しみを感じる」は1割にとどまる。一方で文学、音楽などへの関心は高い。ロシア文学者の亀山郁夫さんが翻訳したドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」(光文社古典新訳文庫)は、計100万部以上も売れた。

 嫌いだけれど、好きなところもある。そんな国民感情が、今回のウクライナ侵攻で悪い方に傾いたことは疑いない。

 実際、ロシア料理店への嫌がらせが県内でも起きた。「ロシア嫌い」の空気が広がれば、ロシア語を学ぶ人たちまでが肩身の狭い思いをするだろう。

 神戸市外国語大学ロシア学科が、金子百合子教授、北見諭教授、清水俊行教授、エレナ・バイビコワ准教授ら教員6人連名のメッセージを公表した。

 軍事侵攻が非道であることは論をまたない。ロシアと自分との「断絶」や、ロシアへの「失望」を感じ、つらい思いをしている人は少なくないはず。

 メッセージは指摘する。親ロシアと反ロシア、敵か味方かの二項対立では、現地の悲痛な叫びは理解できないのではないかと。国籍がロシアとウクライナに分かれる家族。ウクライナに住むロシア人、ロシアに住むウクライナ人…。現実に目を凝らし、冷静に判断し、理性的に行動することが大切だ、とも。

 言葉が武器となって憎しみと分断を増長させる中だからこそ、人々を結ぶ言葉の力を信じたい。多様な背景や考え方の人々との対話を続けたい。人類普遍の価値観を共に創る努力をあきらめてはならない-。

 同感である。共生と共創を願う言葉が、日本だけでなく戦乱の地にまで届くことを祈る。

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