日々小論

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 先進国に新興国を加えた20カ国・地域(G20)が、米首都ワシントンで財務相・中央銀行総裁会議を開いた。ウクライナへの侵攻を続けるロシアの代表も出席したが、発言時に欧米の代表が退席するなど、参加国間の対立が浮き彫りになった。

 日米欧の先進7カ国(G7)が国際機関などからのロシア排除で一致する一方、新興国はロシアへの批判を避け、共同声明も見送られてしまった。

 先進国が結束を強めても、一国の横暴を止められない。進歩し続けてきたはずの文明世界の現実を、暗たんたる思いで見つめる人は少なくないだろう。

 人類は狩猟採集から農耕牧畜を経て国家をつくり、文明化した-。岡山大准教授で文化人類学が専門の松村圭一郎さんは近著「くらしのアナキズム」(ミシマ社)で、そんな単線的な発展史観に疑問を投げかけた。

 あえて国家やその文明から逃れて生きてきた人々の「未開」の営みに、松村さんは視線を向ける。「国家なき社会」は「文明社会がたどりついたと信じてきた民主主義をすでに先どりし(ていた)」と指摘する。

 例えばリーダー。フランスの人類学者がブラジルで調査した狩猟採集民族では、首長が集団の責任を負っていた。だが「強権をふるうことではなく、多数の同意を維持する努力」が求められ、リーダー側が人々に監視される。アフリカや太平洋でも同様の例は珍しくないという。

 先住民の首長像とは対極の専制的な政治リーダーが君臨し、人類の危機さえ招きかねない今の国際社会。どれだけ科学技術が進んでいても「文明社会だ」と胸を張れなくなった。遅れていると思い込んできた「未開社会」から、謙虚に学び直した方がいいのかもしれない。

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