日々小論

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 最初にそのニュースを聞いたとき、正直、目を丸くした。

 近畿日本鉄道が29日から、大阪、奈良、京都を結んで運行を始める新たな観光特急「あをによし」である。先日、試乗会に参加した。

 驚いた理由は車両だ。1974年製で、もう半世紀近い。「スナックカー」の愛称で親しまれた車両を約3億3千万円かけて大改造した。広報担当者によると、それでも新造する費用の半分程度で収まるそうだ。

 「あをによし」は、「奈良」にかかる枕詞(まくらことば)。天平時代に高貴な色とされた紫を基調とした外観は新車と遜色ない。背もたれを高くした座席は家具メーカーに特注。景色が見えやすいよう窓に対して斜めに配置した。4人用のサロン席やビールなどの販売カウンターも用意するなど、快適な移動時間と空間の提供への工夫が随所にのぞく。

 一度は引退した車両を“再登板”させるのは、近鉄の苦しい台所事情と無縁ではない。

 先日、来年4月から運賃を平均17%値上げする方針を発表した。認められれば、消費税率改定時を除けば28年ぶりだ。

 近鉄は全国の私鉄で最も路線の総延長が長い。維持管理の経費がかさむ一方、人口減少やコロナ禍で利用者が落ち込んでいる。それでも駅などの設備や車両の更新、安全対策や防災対策への投資は欠かせない。

 近鉄と言えば、伊勢志摩や名古屋への特急車両の華やかなイメージがあるが、一般車両の約3割が製造後60年を迎えつつある。新型への置き換えは、今後の利用を見極めながら必要分を(同社)と現実は厳しい。

 ぜひ神戸にも乗り入れてほしい「あをによし」。乗車自体が楽しい期待の車両に身を委ねつつ、ほろ苦さもこみ上げる。

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