日々小論

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 良寛作という。〈焚(た)くほどは風がもて来る落葉かな〉。かまどで焚くくらいなら、風が運んでくれるので十分。つましい暮らしだった人らしい。

 でも現実はそうはいかない。落ち葉はもっと欲しい。山と積み上げたいと願ってしまう。

 滋賀県内に東海道新幹線の新駅をつくる構想があった。税収が伸びるし地元も潤うと、期待が集まった。

 ところが計画凍結派の知事が再計算させたら、波及効果は半減した。最初の見込みは「推進ありきの過大な予測」との知事の言葉が紙面に残る。

 どんな効果があるか、細かく計算しているはずなのに、膨らみもするし、しぼみもすると、この一件で学んだ。

 こちらはどうだろう。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)である。

 国内外からの観光客に期待して、いくつもの自治体が手を挙げそうになった。が、締め切ってみたら、計画を届けたのは大阪府・市と長崎県だけだった。

 大阪は年間来場2千万人を見込み、近畿圏の経済波及効果は1兆1400億円とはじく。なんとも大きな数字である。地元を元気づけたい気持ちは分かるが、コロナ禍でオンラインカジノが伸びている。うまみがなかったら、カジノ業者はあっさり撤退するかもしれない。

 列島のあちこちで「リゾート」の大合唱が起きたころを思い出す。ゴルフ場やマリーナなどの計画があそこでもここでも。「0」の並ぶ大きな数字にクラクラしながら、日本は楽しい夢を見た。間もなく、泡はあっけなくはじけ、消えた。

 文芸評論家の斎藤美奈子さんは、IRがこの二の舞いになりかねないと警鐘を鳴らす。

 心配性は、深くうなずく。

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