日々小論

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 大量破壊兵器の登場を予言した一人がフランスのSF作家ジュール・ベルヌだろう。1発で敵艦隊を壊滅できる新型爆弾開発を巡る争いを、19世紀末に小説「悪魔の発明」で書いた。

 現実の兵器の破壊力は作家の想像を上回る。広島、長崎に落とされた原爆は都市を焼き払い、20万以上の命を奪った。

 「悪魔の発明」の開発は今も止まらない。ウクライナでは、ロシア軍がクラスター爆弾を使い、子どもら一般市民が犠牲になっているという。

 「クラスター」は英語で「集まり」や「束」を意味し、何十発の爆弾を一つに束ねて投下する。拡散した爆薬は雨のように無差別に降り注ぐ。「非人道的」と非難されるゆえんだ。

 クラスター爆弾の原型は旧ソ連がフィンランド戦で用いた。殺傷力を高めた改良版を、米国がベトナム戦争で大量投下した。その延長線上に、今のウクライナの惨状がある。

 ベトナムでは1発で村が全滅し、小学校に落ちて59人の児童が死傷した。神戸ゆかりのSF作家、小松左京さんが外国人記者の話として書いている。言葉を失うむごたらしさだ(「“平均的人類”の願い」)。

 空から降る火の雨に家や肌を焼かれ、愛児を失い、硝煙の中を逃げ惑う人々…。「それは私たち自身であり、私たちの肉親であり、私たちの恋人」。神戸大空襲を知る小松さんは自分の身に重ねておののいた。

 そして小松さんは問う。そもそも普通の人々が「殺したい、破壊したい」などと思うだろうかと。そうさせるのは国家であり、戦争という形でしか問題を解決できない政治家は、無能で失格者ではないのかと。

 「失格者」があおる殺意は非情で、残酷で、際限がない。

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