日々小論

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 「4万円相当のクーポンを配布します。ただし、使い道は文化と芸術に限ります」。もし政府からこんな案内が届いたら、あなたは何に使うだろうか。

 フランスで実際にあった話。昨年、18歳全員に300ユーロの「文化パス」が配られた。日本円にして約4万円。結構な金額だ。スマホの専用アプリで登録すれば、2年間有効で使える。

 若者に多様な文化体験をしてもらうのが狙いといい、マクロン大統領は「本、映画、音楽、ショー、展覧会、ライブなどに使用できます」とネット動画で対象者に呼びかけた。予算規模は200億円を優に超える。

 そして、興味深い現象が起きる。日本の漫画を買う人が続出し、「マンガパス」と呼ばれるようになったのだ。パリの書店で「進撃の巨人」や「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」を手にする若者が日本でも報じられた。最近、再び漫画をよく買うようになった自分も、同様の行動をすると思う。

 パスの利用者は漫画をアプリで注文できるが、店に取りに行く必要がある。そのため、ついでにほかの本を買う人も多いとか。書店側は「これを機に町の本屋に親しんでほしい」と期待している。今年から対象年齢が広がるようだ。

 劇作家で芸術文化観光専門職大学(豊岡市)の学長を務める平田オリザさんが4月に神戸で行った講演会で、この文化パスについて触れた。「コロナ禍で何かと我慢を強いられている若者への夢のあるプレゼント」。同感だ。現地では大統領の人気取りとの声もあるらしいが…。

 そういえば、こちらでは年金生活者らに5千円を配る案が一時浮上した。困窮する人たちへの支援は当然として、若い世代や文化、芸術への目配りがもっとあっていい。

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