日々小論

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 少しは頭をかすめなかったのだろうか。洲本市の兵庫県立淡路医療センターで3月、公文書の偽造問題が発覚した。しかも主導したのは管理職だという。森友学園を巡る公文書改ざんがどんな結果をもたらしたか、知らないはずもなかろうに。

 発端は若手職員のミスだった。2020年末、同センターは業務用のパソコン30台の一括購入を決めた。費用は総額で250万円。県の規定により入札が必要だったが、20代の担当者は誤って簡略な随意契約で特定の業者に発注してしまった。

 ここで間違いを認め、対応を改めれば傷は浅かった。ところが、ミスに気付いた管理職はあろうことか隠蔽(いんぺい)を図った。入札を実施したように装って関連文書を偽造したが、肝心の契約書類を作成していなかった。

 うそはいつかばれる。1年後、あるネットメディアが情報公開を請求。契約書類の不備を隠すため、またも公文書を偽造した上、別の上司ら3人も加担した。ミスをうそで隠し、うそを隠すために不正を重ねる。「やったらあかんことの典型」。県幹部もあきれ顔だ。

 昨年12月には、国土交通省の統計で長年にわたるデータの書き換えが判明した。統計は政策判断の重要な根拠となるだけに許し難い。さらに見過ごせないのが、同省の指示とはいえ、県庁の担当者が唯々諾々と書き換えを実行したことだ。

 公文書は「民主主義の根幹を支える知的資源」といわれる。それを見れば、政治家や公務員の行動や意思決定の過程が分かるためで、捏造(ねつぞう)や改ざんは知る権利を奪うことにもなる。

 なぜ、偽造や書き換えに誰も異を唱えなかったのか。この「沈黙」にこそ、問題の根深さが感じられてならない。

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