日々小論

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 「政治家は、選挙に落ちたらただの人」と言うが、それではもったいない。

 第1次安倍政権の官房長官などを務めた塩崎恭久さんが71歳で里親になろうとしていると知り、その思いを強くした。

 昨年の衆院選に出ないと表明した直後、地元愛媛県の児童相談所に出向き、里親登録の申請書をもらったという。職員はさぞ驚いただろう。夫婦で研修を受け、今年2月、正式に県の里親名簿に登録された。

 日銀出身。金融再生法で奔走した「政策新人類」。安倍晋三元首相、石原伸晃元幹事長ら同世代の自民党議員と政策集団「NAIS(ナイス)の会」を結成。こうした経歴からイケイケの経済通というイメージが強かった。だが同時期、地元の児童養護施設関係者からの相談をきっかけに虐待などで家庭で暮らせない子どもたちの過酷な実態を知り、全国の施設に足を運んでは胸を痛めてきたという。

 第2次安倍政権では厚生労働相として、児童福祉法に「子どもの権利」などを明記する抜本改正に取り組んだ。里親制度の普及へ数値目標も定めたが、現状は厳しい。そこで「議員を辞めたら、まず自分が里親になろう」と考えた。自らの手で変えた制度も、使う側に回れば新たな課題が見えてくるだろう。

 国会議員は引退後こそ地域の現場に身を置いてはどうか。培った知恵とノウハウ、人脈を駆使して「地域の課題解決に貢献する人」になれるはずだ。

 海外では、議員を長く務めるより、政治経験を生かし、ビジネスや社会貢献分野で新天地を切り開くケースが多いという。

 「ただの人」になった塩崎さんが、新しい家族を迎えて何に悩み、どう動くのか。閣僚時代以上に注目している。

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