日々小論

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 神戸の旧居留地にある神戸商船三井ビルが、1922(大正11)年の完成から100年を迎えた。改めて眺めると、どっしりとした石造りの外観が素晴らしく、ライオンのレリーフなどが楽しい。米国のクラシックなオフィスビルのようだ。昭和初期の写真には、海に面した神戸の「顔」として写っている。

 設計したのは大阪・綿業会館などの名作で知られる渡辺節。鉄骨鉄筋コンクリート造りの7階建ては、大空襲や阪神・淡路大震災でも残った。完成時の米国製エレベーターのモーターは現役だ。港町の歴史を象徴する建築物と言っていいだろう。

 神戸では神戸税関や旧居留地38番館、大阪では三井住友銀行大阪本店など、1920年代は数々の近代建築を生んだ。

 20年代の特徴は建物だけではない。阪急神戸線の開通などに伴って郊外が開発される。都心に通勤するサラリーマンや社会に進出する女性が増え、ターミナルデパートが家族連れらを集めた。登山や海水浴、遊園地に出かける休日が定着した。

 かつて兵庫県立近代美術館で開かれた「大阪・神戸のモダニズム」展の図録には、20年に都市計画法が6大都市に適用されたのを機に近代都市建設が本格化し、大阪・神戸に新たな都市文化が誕生したとある。

 評論家の海野弘さんも、著書「モダン・シティふたたび」で20年代を「現代都市のライフスタイルをつくった時期」と捉え「都市の青春」と呼ぶ。パリやニューヨークにも同時代のモダニズムがあったという。

 1世紀後の2020年代は、新型コロナウイルス禍とロシアのウクライナ侵攻という重苦しい出来事で始まった。転じて、何かの起点になる時代にできるか。私たちにかかっている。

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