日々小論

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 おそろいのネクタイが目に入った。青と黄色のしま模様。

 北朝鮮に拉致された横田めぐみさん=失踪当時(13)=の弟で、双子の拓也さんと哲也さんがともに身につけていた。

 拉致被害者の家族は5月、来日したバイデン米大統領と面会。2人はウクライナ国旗を示す色のネクタイで臨み、会見で「絶対に諦めない。共感し、応援する意味でも身につけている」と語った。ロシアの侵攻が続くウクライナ。国民の不屈の姿勢に自分たちを重ねたのだろう。

 拉致被害者家族を取材するたび、苦悩する。無念さ、悔しさ、憤り…。涙声で語る思いは、どんな言葉なら伝わるのか。

 めぐみさんの母早紀江さんによる講演は、千回を超える。失踪後、夜まで砂浜をかき分けて手がかりを求めたり、知らない町で干された衣類に娘の物がないかを探したり。何年間も警察に通い、膨大な身元不明の遺体写真に目を凝らしても、娘はいない。「子育てを間違ったのか」と自責の念に駆られることもあったという。

 神戸市出身の被害者、有本恵子さん=同(23)=の父明弘さんや、亡くなった母嘉代子さんも同じだ。失踪後も恵子さんの分の食事を作り、毎日神棚に手を合わせた。門前払いにされても政治家を訪ね、手をはねのけられても署名活動を続けた。

 拉致問題が表面化しても、娘はまだ帰ってこない。今春、明弘さんが投げやりに発した。「みんなもう拉致問題なんて興味ないんや」。早紀江さんは繰り返していた。「自分ごととして考えてほしい」

 想像したい。最愛の子を、兄弟を、親を理不尽に奪われたら。政府に打開策を求めるとともに、苦しみを共有し風化させないことで解決の道を開きたい。

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