日々小論

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 お金はいくらあってもいいと庶民は思う。生計を営むためのお金がいかに大切かを、コロナ禍で多くの人が痛感した。

 しかし、お金があればあるほど幸せになれるかといえば、そうでもないらしい。海外の研究では、国民総所得が1人当たり2万5千ドル(約330万円)を超えたあたりで、幸福感は頭打ちになるという(R・ウィルキンソン、K・ピケット著「平等社会」東洋経済)。

 一般の人が買い物など日常生活で使うお金は、せいぜい数万から数十万といった額だろう。

 一方、岸田文雄首相は、来日したバイデン米大統領に防衛費の「相当な増額」の決意を伝えた。具体的な数字は明らかにしていないが、念頭にあるのは5兆円ほどの数字のようだ。

 防衛費を5年以内に国内総生産(GDP)比で2%以上に増額するよう自民党が提言した。首相発言はそれを踏まえたとされる。今の防衛費はGDP比で1%強、約6兆円だから、ほぼ倍増を公言したに等しい。

 「そんなお金をどこから?」と首をひねるが、毎年借金を積み重ねる政府からは、引き締めの声は聞かれない。庶民感覚とかけ離れた「兆」という額に違和感も抵抗もなさそうな、政治の空気の軽さが気にかかる。

 そもそも5兆円とはどれほどの額か。例えば、全国の小中学校の給食や大学の授業料を無償化し、中学校までの児童手当を高校まで延長しても、まだ残る。公的年金の受給権者全員に月1万円の上積みも可能だと、東京新聞は報じている。

 政府支出のツケは国民に回る。安全保障の問題とはいえ数字を独り歩きさせず、身近な視点で使途の是非を徹底論議すべきだ。そうでなければ幸福感も納得感も、一向に高まらない。

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