日々小論

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 ニュースを見ていた小学生の男の子が突然、声を上げた。

 「あ、ここ知っとう」

 テレビが映し出すのは国連総会の会場。ウクライナに侵攻したロシアに対し、各国の大使が非難決議をする緊迫した場面である。

 学校で習ったのかと思ったがそうではない。韓国の人気男性音楽グループ「BTS」のミュージックビデオに、メンバーが国連で歌い踊るシーンがある。国連のSDGs(持続可能な開発目標)の活動支援だった。

 男の子はダンスをまねようとユーチューブで何度も見たから、すぐに気づいた。

 そのBTSが今度は米ホワイトハウスに登場した。新型コロナ禍以降、米国で増加するアジア系へのヘイトクライム(憎悪犯罪)を撲滅しようと、バイデン大統領が招待した。

 米国ではトランプ前大統領が「中国ウイルス」と連呼し、アジア人へ暴力が深刻化した。BTSは容姿で見下された自らの差別体験を踏まえ「今起きていることは、私たちのアイデンティティーと切り離して考えられない」とメッセージを発した。

 熱烈なBTSファンの男の子は数日前からそわそわし、彼らの言葉をチェックした。人種や国籍を問わず、世界中にファンがいる。その日のホワイトハウスのインターネット中継を約25万人が視聴したという。

 アイドルの政治利用に眉をひそめる人もいるだろうが、日本国内でも起きている憎悪犯罪に目線の低いメッセージを届ける政治家がいないのは寂しい。

 そもそも今、バイデン大統領が招待したくなる日本の芸能人はいるだろうか。世界に向け、社会問題の改善を発信するアイドルはいるだろうか。

 残念ながら思い浮かばない。

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