日々小論

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 東日本大震災の教訓を伝える遺構として公開されている仙台市立荒浜小学校を、出張の合間を縫って訪ねた。

 海岸から約700メートル内陸に位置する同小は、2階まで津波が押し寄せた。押し上げられた天井、めくれ上がった床、ひしゃげた鉄柵などがそのまま残る。校舎に避難した児童や教職員、住民ら320人は屋上などに逃れ無事だったが、地域住民190人が犠牲になった。

 大震災から6年後の2017年、同市初の学校遺構として整備され、5年間で約35万人が訪れた。最近は関東からの修学旅行が増えているという。仙台の市街地から地下鉄とバスを乗り継いで約40分、館内は自由に見学できる。事前に相談すれば職員が案内もしてくれる。

 今回お願いした高山智行さん(39)は地元で生まれ育った。震災前からつながりが強く、祭りや海水浴客でにぎわう地域だったと教えてくれた。

 津波の脅威を目の当たりにし、日ごろの備えと助け合える地域の大切さを改めて心に刻む。それが震災遺構を保存する目的だろう。案内役に恵まれ、有意義な時間を過ごせたという満足感にひたっていた時だ。高山さんの次の言葉にはっとした。

 「外から訪れる人には遺構でも、地域の人にとっては思い出の詰まった小学校です。みんなが帰って来られる場所であり続けるため、何ができるか…」

 遺構に求められがちな過酷な爪痕だけでなく、楽しく、懐かしい「普通の思い出」も残したい。そう考えて、地元小中学校の同窓生らと毎年3月11日、ここで追悼行事を企画し、音楽や交流イベントで訪れる人たちをもてなしているという。

 やはり話を聞けてよかった。また来よう。心から思った。

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