日々小論

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 情報の偏食、していませんか。ニュースをパソコンやスマートフォンで見る時代。人工知能やアルゴリズムといった技術で、その人が興味を持ちそうな情報が優先的に届く。無意識に偏ってしまうのだ。

 先日、そのことを考えさせる機会があった。神戸市須磨区の路上で2003年2月21日夜、寺田和子さん=当時(44)=が刺殺された事件の手がかりを求める街頭活動をお手伝いした。日曜日の午後、三宮センター街は、すっかりにぎわいを取り戻しているようだった。大きな声を出して精力的に動いている関係者の方々に対し、消え入りそうに「お願いします」と、ビラを差し出しても、無反応、素通りの連続。早々に立ち尽くして、発生当時を思い返していた。

 夜中に駆けつけた現場に、点々と血痕や手帳のような遺留品があったと記憶している。団地に囲まれるように続く細い道で、人通りも多くはない。有力情報がなく取材は難航。悔しいが、結果的に捜査は長期化している。あれから19年の間、私たちは解決につながる記事を発信していたのかと自問した。

 そんな気持ちも乗ったのか「犯人は捕まっていません」「女性が被害に遭いました」と声を上げると、わざわざ戻ってきて受け取ってくれたり、丁寧にお礼を伝えられたりと、違う反応が返ってきた。若い人たちも立ち止まってビラに目を通してくれたのは、意外だった。偶然でも情報が届けば、関心を持ってもらえる、もしかしたら何かがつながることを実感した。

 社会に必要な情報は、往々にして人々の一時的な関心の外にある。だが、未知の情報との出会いは健全な社会に必要であり、それこそが新聞本来の強みでもある。もっと頑張らねば。

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