日々小論

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 「安全性には問題がない」。最近も製造業などで不正が発覚するたび、耳にするのがこの言葉だ。不正だが、安全。では反対に、不正ではないけれど安全とはいえない-というケースはどうだろうか。

 毎日のように、あちこちで利用するエレベーター。扉が開いたまま昇降し、人が挟まれる「戸開(とかい)走行事故」がなくならない。事態を重く見た消費者安全調査委員会(消費者事故調)が対策を議論している。

 2006年に東京都港区のマンションで起きた高校生の死亡事故を受け、国は二重ブレーキ(戸開走行保護装置)の設置を義務づけた。だが、対象は09年9月以降に設置されたものに限られ、既にあったエレベーターに義務はない。未設置でも違法ではないが、国が「安全性確保のために積極的な取り付けをお願い」している。工事費の補助制度も設けている。

 では、設置済みのエレベーターはどれぐらいあるのか。国土交通省の調査によると、20年時点でわずか29・3%。前年度から3ポイントしか増えていない。一因として「これまで事故なく利用できていることから、所有者が設置の必要性を感じにくい」という分析もある。

 装置のないエレベーターの事故は、神戸市の病院でも18年に起きている。結果的に軽傷者1人で済んだが、消費者事故調の委員は「大事故が起きても不思議ではなかった。法的には付けなくていいところでも、付けなければ結局同じような事故が起きる」と指摘する。16年に国交省に設置促進を求めた後も進展せず、危機感がにじむ。

 エレベーターに乗るたび、「7割は未設置」という不安が頭をよぎる。不正も不安も、ないほうがいい。

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