日々小論

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 滋賀県で「交通税」の検討が進められている。人口減少やコロナ禍で苦境にあえぐ地域の鉄道やバスを維持する費用を、沿線住民だけでなく、県民全体で負担しようという取り組みだ。実現すれば全国初となる。

 今年4月、滋賀県の税制審議会は「地域公共交通は、利用者のみならず、地域のみんなで支えるべきものだ」と交通税の導入検討を答申した。

 これを受け、三日月大造知事は導入を目指す意向を表明し、参院選と同日に投開票される知事選の公約にも盛り込んだ。首長が選挙戦で県民の負担増を伴う政策を掲げるのは異例だ。

 同県では近江鉄道の経営問題が浮上し、県や沿線市町が毎年約5千万円の補助金を支出してきた。だがコロナ禍で経営はさらに悪化。駅や線路など施設を自治体が保有し、鉄道事業者は運行を担う「上下分離方式」に2024年度から移行する。

 交通税は、県民税などの税率を標準よりも引き上げ、上乗せ分を公共交通の維持に充てる方式が検討されている。

 税の使途を限ることで補助金よりも財源の安定性は増し、公共交通に対する県民の意識が高まる効果も期待される。一方、路線を利用しなくても税を払う県民からは反発も予想され、どう理解を得るのかが問われる。

 鉄道が廃止され、全員が車で移動すれば渋滞が深刻になる。それを解消する道路整備などの費用を考えると、公共交通で人の移動を束ねる方が社会的なコストは安くなる。多様な交通手段を確保するのは、自分と家族の生活を支えるためでもある。

 利用者減による赤字路線の存廃は、兵庫をはじめ全国共通の課題だ。地域全体を「受益者」とみなす交通税。滋賀県が投じた一石の行方を注視したい。

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