日々小論

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 元参議院議員でミュージシャンの喜納(きな)昌吉(しょうきち)さん(74)が「ハイサイおじさん」をシングル盤で発売したのは1972年、沖縄復帰の年だった。沖縄民謡の第一人者を父に持つ喜納さんがウチナーグチ(沖縄方言)で歌った曲は全国でヒットし、沖縄ポップスの代表曲となった。

 「ハイサイ」は「こんにちは」というような呼び掛け。酒飲みのおじさんと子どもの掛け合いだが、意味は分からなくても軽快なリズムとメロディーが耳に残る。志村けんさんが「変なおじさん」ともじったのも、原曲に引かれたからだろう。

 沖縄の音楽にはジャズなどのスイングに似たリズムがあるという。喜納さんのバンド、チャンプルーズが演奏する民謡はロックのような乗りで、歌詞を耳で覚えて口ずさんでしまう。

 喜納さんはそのリズムとメロディーに乗せて沖縄の人々の思いも伝えてきた。うろ覚えの歌詞をつい口ずさむのは、コミカルな「ハイサイおじさん」よりも心の叫びの歌の方である。

 例えば、民謡調の掛け声を題にした曲「イヤー ホイ!」。「照(てぃ)る月(ちち)や/いちまでぃん/姿(しがた)や変わらんさ/変わるや人心(ひとぅぐくる)(月の姿はいつまでも変わらない。変わるのは人の心)」という詠嘆に続き、「アイエナー、ちゃーすがや(ああ、どうすればいい)」「ウチナーがなーちょんど(沖縄が泣いているぞ)」と声を張り上げる。

 喜納さんがこの曲を書いたのは40年以上も前。時を経ても「基地の島」の現状はさほど変わらない。人の心、とりわけ本土の人の心はどうなのか。

 残念ながら、今回の参院選でも基地問題の議論は盛り上がりを欠いている。「ちゃーすがや(どうすればいい)」の問いが、今も答えを求めている。

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