日曜小論

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 「ピタゴラスイッチ」「2355」。NHKのEテレを楽しんでいる。

 教育テレビ時代の雰囲気を漂わせながら、柔らかい感覚も入れて。そんな難しい注文があったかどうか知らないが、スタッフは楽しそうに仕事をしているように思う。

 先月、見たのは「100分de名著」。世界の名著を毎月1冊、専門家とともに読み進める。9月はハンナ・アーレントの「全体主義の起原」だった。ナチスドイツの迫害を逃れ、米国に亡命したユダヤ人の政治哲学者だ。

 全体主義はどのようにして生まれたのか。ヨーロッパの近代史や文学を検証しながら思考を重ねた。番組では「エルサレムのアイヒマン」も取り上げた。ユダヤ人を強制収容所に送る実務を担ったアイヒマン元中佐の裁判を傍聴し、著した。

 著書で、彼女が大切さを説いたのが「立ち止まって、自分の頭で考えること」。

 貧困や失業、戦争などで不安に駆られると、人々は物事を自分で考えようとせず、分かりやすくて安心できる「物語」を受け入れてしまう。危機感をあおられて、単純明快な主張に飛びつく。

 「アイヒマン」では、思考停止に陥る官僚の姿が示される。大事なのは自分の出世で上からの指示に、何も考えず従う。無思想、無思考。当然ながら、責任も取らない。

 いずれも今に通じる視点である。周囲を見渡せば、なるほどと思わせる材料がいっぱい。トランプ政権誕生後の米国で、人々がアーレントの本を求めたのもうなずける。

 放送が続いているさなか、「国会解散」が報じられた。何というタイミングだろう。まさに考える好機の到来だ。番組スタッフはここまで読んでいたか。恐るべし。

 あんなことこんなこと、安倍政権の歩みをおさらいする。野党の離合集散に触れて、各党の公約に目を通す。

 立ち止まって、自分の頭で考えたら-。いざ投票所へ。

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