日曜小論

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 神戸市兵庫区に建設される上方落語の定席「神戸新開地・喜楽館」が、来夏の開業を目指し着工した。計画の先頭に立って奮闘するのは、上方落語協会会長の桂文枝さん(74)。ただ、着工式やその後のインタビュー取材の際、テレビでおなじみの笑顔が少なく、厳しい表情の多いことが気になった。

 同協会は2006年、大阪に「天満天神繁昌亭」をオープンし、客席では連日大きな笑い声が響く。一方、所属する落語家は約260人にのぼり、若手がその舞台に上がれるのは数カ月に1度。そこで文枝さんは数年前から“第2の繁昌亭”開設を模索し、地元住民らが誘致活動に熱心だった新開地を選んだ。

 ところが構想の段階で、若手を中心に「定席を2軒もやっていけるのか」と不安の声が上がった。そこで、協会直営の繁昌亭と異なり喜楽館は地元NPOが運営することなどを説明し、協会員による異例の投票を経て、どうにか着工にこぎ着けた。

 喜楽館の集客について、文枝さんはさまざまなアイデアを持っている。それでも繁昌亭のある大阪と、人口や街のにぎわいを比べると、楽観はできない。「東京の寄席でも客席に10人もいないところから工夫を重ね、今の落語ブームになった」とした上で「どんなにお客さんが少なくても、僕は続けるつもり」と、口元を引き締めた。

 文枝さんは03年に協会会長に就任。以来、師匠の五代目桂文枝、三代目桂米朝、三代目桂春団治と、戦後の上方落語復興に尽力した「四天王」のうち3人がこの世を去るのを見送った。四天王に代わって上方落語界を担い、今の活況のまま次世代へ引き継ぐ責任の重さを察すれば、表情の厳しさも理解できる。

 とはいえ、やはり喜楽館では「いらっしゃ~い」と、文枝さんに明るく迎えてもらいたい。そのためには客席を埋めることが一番。開館が待ち遠しい。

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