日曜小論

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 日本政治のキーマン2人の話を同じ日に聞く機会を得た。一人は自民党の岸田文雄政調会長、もう一人は立憲民主党の枝野幸男代表である。

 「リベラル」という言葉が、先の衆院選でクローズアップされた。この2人は、現在の日本のリベラル派を代表する政治家といえるだろう。

 リベラルとは、辞書を引けば「自由な」や「寛容な」という意味がある。政治学者の中島岳志氏によれば、宗教戦争を繰り返していたヨーロッパで、宗教的な寛容を認める思想として成立したという。

 かつて日本の政治は「保守」対「革新」だった。55年体制が崩壊し、今や保守ばかりが目立つようになった。

 岸田氏は派閥「宏池会(こうちかい)」の領袖(りょうしゅう)だ。宏池会は池田勇人氏を支えるためにつくられ、リベラル派の本家とされる。日米安保条約の改定で国内が騒然とする中、池田氏が首相に就任した際のスローガンが「寛容と忍耐」だった。

 一方の枝野氏は、民主党政権時代には官房長官などを務めた。民進党のリベラル派を集め立憲民主を設立した。

 リベラルについて問われた岸田氏は「宏池会は戦前に厳しい時代を経験した先人が自由な言論を尊重して立ち上げた。政策は徹底した現実主義だ」と話した。枝野氏は「保守とリベラルは対立概念ではない。立憲民主は漸進的に変えていく保守だ。『和をもって貴しとなす』の時代からの社会と伝統を守る」とする。

 面白いのは、枝野氏が「私は保守。30年前なら自民党宏池会だ」とテレビ番組で語っていることだ。この点について岸田氏は「複雑な気持ちだ」と言葉を濁した。そこには「本家はわが方なのに」という気持ちがにじんでいるようだった。

 世界は「ファースト」が声高に叫ばれ、分断と対立の時代を迎えつつある。日本がその流れに乗ってはいけない。2人のリベラル政治家がどんな社会の理想像を描き、政策を打ち出すのか注視したい。

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