日曜小論

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 神戸・メリケンパークにいま、「めざせ! 世界一」と銘打ったクリスマスツリーが設置されている。神戸開港150年目を記念し、阪神・淡路大震災の犠牲者の鎮魂もテーマの一つだという。

 ツリーは富山県から運ばれた全長約30メートルのアスナロの生木で、点灯式には大勢の人が集まっていた。

 意見がいろいろある。「活気が出る」の肯定派。「木がかわいそう」の声も強い。そして「安易に震災を語らないで」という批判である。

 ことは感じ方の問題で、鎮魂がテーマとしてふさわしく思えるかどうかは、人それぞれの体験と震災の見方につながっている。こういうイベントでは嫌だな、というのもうなずけるし、誰が語ろうと自由、というのも分かる。

 震災犠牲者の追悼と記憶の継承をうたう光の祭典「神戸ルミナリエ」について、3年前、本紙がインターネットでアンケートを行った。

 追悼という本来の開催趣旨は伝わってくるか-。その問いかけに半数が「伝わってくる」と答えた。一方で4割は「伝わらない」。観光イベント化している、というのが主な理由だった。今年は開港150年記念の作品もあるそうだが、中には違和感を覚える人がいるかもしれない。

 被災体験を短歌にしていた人に1年ほど前、話をうかがいたいとお願いをした。ずいぶんと悩まれたようで「大きな被害に遭われた方がたくさんいる中で、自分が震災を語るのは…」と遠慮されていたのが心に残る。

 今年の「防災の日」の紙面では、地震を直接知らない大学生が述べていた。「経験していない分、防災について考え続け、いつか子どもたちに『命の大切さ』を伝えたい」

 語ること、語れないこと。語ってほしいこと、ほしくないこと。気楽に語ること、学んで語ること。

 被災から、間もなく23年。正しい「震災の語り方」は誰にも分からない。

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