日曜小論

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 東京のスーパーで、視線が止まった。レジ近くの台に山積みになった、その名もずばり「頭脳パン」。

 長さ16センチ、高さ5センチの長方形で、レーズン入りらしい。包装には、博士帽をかぶって眼鏡に手を掛けるレトロ風の男性のイラスト。ほほ笑ましくも、どこか怪しい-。

 これが面白いように売れていく。都民に聞くと「試験の前に食べたくなる」。“東京あるある”の一つらしい。

 さいたま市の伊藤製パンによると、受験シーズンには数万個を売る日もあるそうだ。神戸で見かけないので関東のローカルフードと思いきや、起源は金沢製粉(金沢市)の「頭脳粉」という。

 「ビタミンB1は頭の働きを良くする」との学説を基に1960(昭和35)年、小麦粉にビタミンB1を多く残す製法を開発。各地の製粉・製パン会社と連携して売り出した。何度かのブームを経て、伊藤製パンが主に首都圏向けに量産するほか、北陸のパン店などが手掛ける。

 金沢発の頭脳パンのような発見が、今年2月まで2年間の東京暮らしで何度となくあった。首都の多様性は、地方の個性が集まってつくり上げているのだろう。

 兵庫も負けていない。赤穂義士の主君・浅野内匠頭にゆかりの新橋で「切腹最中」が売られ、浅草では神戸生まれのオブジェ「金の炎」が存在感を示す。そしてなぜか有楽町で神戸のソウルフード、そばめしが人気…。「この人、兵庫人だったの?」という出会いも数多くあった。

 兵庫をはじめ地域が元気でこその東京、ひいては日本なのだと思う。

 肝心の頭脳パンの効能だが、製品のコピーよろしく「毎日よく食べてよく勉強して優秀な成績をあげてください」とのこと。近年は大阪や奈良で販売され、過去には兵庫でも大手メーカーが販売していたらしい。いずれ家の近くで頭脳博士と再会する気がしてならない。

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