日曜小論

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 プロ野球・広島カープ一筋で活躍し「ミスター赤ヘル」と呼ばれた山本浩二さんは、地元出身の被爆2世である。原爆からの復興のシンボルとして設立された球団に注ぐまなざしは、特に愛情にあふれている。

 阪神タイガースなどで猛打を振るった田淵幸一さんらと法政大学の「三羽がらす」の一人として名をはせた。

 ドラフト会議の際には、セ・リーグのお荷物とまで言われたカープを迷うことなく希望球団に挙げた。43年前に初優勝を決めると、歓喜の輪の中で「もう何もいらない」と人目もはばからず号泣した。

 カープは、被爆地の心のよりどころだった。山本さんが自著「野球と広島」(角川新書)でこう振り返っている。

 「私にしても、カープを応援するのが自然で当たり前のことだったし、子供の頃にはカープを応援するのがとにかく楽しかった」

 球団が資金難に陥ったとき、ファンが樽(たる)募金で支えたというエピソードはよく知られるが、山本さんも幼少期、小銭を入れた記憶があるという。その存在はまさに「希望の光」だった。

 今年もプロ野球が開幕し、白熱した試合が連日繰り広げられている。野球好きには楽しみな季節が始まった。

 そんな中、カープと中日ドラゴンズの試合で、ドラゴンズ側の応援席にいた男性が「原爆落ちろ」などとやじを飛ばした。その動画がインターネットに投稿され、ニュースになった。

 カープファンの一人として、悲しく残念に思う。軽い気持ちで発したのかもしれないが、その言葉は被爆者の胸に突き刺さる。ネット上で批判が相次いだのは当然だ。

 山本さんは自著に次のようにもつづっている。

 「カープの存在が戦後の広島を明るくしてくれたように、これからも野球は日本を明るくしてくれるはずだ」

 野球ファンなら、爽やかな応援を繰り広げたいものだ。

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