日曜小論

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 取材で耳にした話。

 ある人がポーランドでタクシーに乗った。客が日本人だと知った運転手はさてどうしたか。「親たちが世話になった」と相好を崩し、何と乗車賃をまけてくれたという。

 こんな果報は特別だとしても、ポーランド人の親日ぶりがうかがえるエピソードだろう。背景には1世紀前のシベリア孤児の物語がある。

 列強支配への抵抗運動や世界大戦、またはロシア革命。動乱の時代、避難民や政治囚としてシベリアをさまようポーランドの人々がいた。飢えと寒さの中、彼らは「子どもたちだけでも助けてほしい」と諸外国に助けを求め、応じたのが日本である。1920年代、孤児765人が日本経由で無事、帰国できた。

 神戸港からも船が出た、というから縁がある。彼らの恩義の深さは、阪神・淡路大震災の被災児童をポーランドに招いたことにも表れている。

 ご縁はいまも続く。

 先月、この国の暮らしや伝統、芸術を学ぶ文化教室が神戸で始まった。3年前にできた在神戸ポーランド共和国名誉領事館などが開き、講師はポーランドの大学院生。講師いわく「ハルキ・ムラカミを読んで日本に興味を持ちました」。向こうの大学には「日本学科」があるという。

 国文学者の落合直文はかつて詩に詠んでいる。〈…聞くもあわれやそのむかし ほろぼされたる波蘭(ポーランド)〉と。

 123年間にわたって国は消え、1918年の独立回復後も第2次大戦中は国土が分断された。その歩みは悲劇の歴史として語られることが多い。一方でショパン、キュリー夫人、コペルニクス…といった名を聞けば、遠い国も心の距離はぐっと縮まる。

 今年は独立回復100年、来年は日本との国交樹立100年の節目という。6月のサッカー・ワールドカップでは日本の対戦国でもある。

 どうです。

 何だかポーランドに興味わいてきません?

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