日曜小論

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 数カ月前のこと。定年退職した元上司が言った。

 「俺もあと10歳ほど若かったら、セクハラで会社を辞めていたかも。昔はおおらかでよかった」

 心の中で「おいおい」と突っ込みつつ、「そんなふうに思うおじさんは多いでしょうねえ」と返すにとどめた。言っても仕方がないと諦めた、という方が近い。

 その後である。スーパーエリート官僚の女性記者へのセクハラが表面化したのは。

 社会人になって30年近くになるけれど、フクダ前財務次官の下品な発言や開き直り、アソウ大臣の被害者をおとしめる物言いを見聞きするにつけ、変わってないなと思う。

 男性中心の職場文化、言い換えれば女性を軽んじる風土。それはまるで分厚い粘土層のように居座っている。

 で、周囲の男性たちはといえば、良識的な人ほどフクダ氏の話題になると困った表情で肩をすくめる(…ような気がする)。

 「自分も無意識のうちに女性に嫌な思いをさせていたかもしれないから、偉そうに批判できないなあ」

 ふむ。まっとうな感覚だと思う。本当はそういう男性ほど発言してほしいけれど。

 自分だって男社会にどっぷり漬かり、感覚がまひしている部分もあるだろう。「この人にセクハラを相談しても無駄」と思われていたかもしれない。

 だからこそ、自戒を込めてやめようと思う。言っても仕方がないと諦めるのは。

 ところで、コラムニストの小田嶋隆さんがフクダ氏のセクハラ発言を「他者全般への強烈な優越感が言わせている」と表現していた。「優秀な人間は、他人を見下すことによってしか自分の優秀さを確認できないのだ」とも。

 エリートに限らず、他者を見下すことで自分のプライドを保っているかのような人もいる。優越感とハラスメント。この際、掘り下げて取材しようと思っている。

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