日曜小論

  • 印刷

 外国人観光客が日本の「オモテナシ」に感動する。個々の旅館や飲食店、観光施設では珍しくない話だが、社会全体ではどうだろう。

 そう考えさせられたのが、先日聞いた中国人観光客誘致についての講演だった。

 中国は街の屋台でもスマホで代金を支払えるIT社会。旅の計画は会員制交流サイト(SNS)や旅行情報サイトをフル活用する。そして日本に降り立てば、アプリで予約し料金も支払った中国人ドライバーの車で観光地を巡る…。

 ここまで聞いて耳を疑った。関西国際空港などで摘発されている白タクのことだ。違法行為を前提とするような旅とは、聞き捨てならない。

 そんな反応は想定内とばかりに、講師の劉瀟瀟(りゅうしょうしょう)・三菱総合研究所研究員は指摘した。

 「法律違反と規制するだけでなく、ニーズもくみ取ってはどうですか?」

 団体ツアーから個人旅行に、中国人観光客の好みは変化しているそうだ。日本でも自国と同様に、ネット予約やスマホ決済ができて言葉が通じる移動手段を求めている。

 だがその条件を満たす日本のタクシーはまだ少ない。電車やバスも、外国人観光客が利用しやすいとは言いがたい。オモテナシの至らなさが白タクを生み、はびこらせているとも言えるのだ。

 劉氏はほかにも中国の社会構造や若者の流行から、観光客が求めるポイントを説明した。関心を持ち、理解を深めて日本の観光資源をアピールしてほしいとの結論だ。

 日本の携帯電話やパソコンがガラパゴスとやゆされたことを思いだす。作り手は自信満々だったが、世界の消費者には受け入れられなかった。

 外国からの観光客誘致が国策となって久しいが、一方的に日本の良さをアピールするだけでは、同じ失敗を繰り返しかねない。

 相手の立場に立ち、いかに喜んでもらうかを考えるのがオモテナシの原点であることを、改めて教えられた。

日曜小論の最新

天気(6月22日)

  • 28℃
  • 21℃
  • 0%

  • 31℃
  • 15℃
  • 0%

  • 31℃
  • ---℃
  • 0%

  • 32℃
  • ---℃
  • 0%

お知らせ