日曜小論

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 「避難527回」という見出しに言葉を失った。

 沖縄県宜野湾市にある普天間第二小学校の運動場に、在日米軍の大型ヘリコプターの窓が落下したのは、昨年の12月13日だ。運動場の使用は今年2月に再開されたが、米軍機が接近すると児童らは指定の場所に避難する。その回数が6月上旬までに500回を超えたと、地元紙「沖縄タイムス」が伝えていた。

 子どもたちは体育の授業中でも、指示があれば避難を強いられる。同じ国の、現在進行中の出来事だ。

 落下した窓の重さは7・7キロ。惨事につながる危険をはらむ。しかし在日米軍の活動に日本の法律は原則適用されない。駐留条件は日米間の「地位協定」で定めているが、訓練や演習を規制できないなど日本側の権限は極めて小さい。

 長く抜本改正を求めてきた沖縄県は今月、ホームページに「地位協定ポータルサイト」を開設した。ドイツやイタリアでは米軍施設や事故現場に立ち入りができ、飛行空域や騒音も一定コントロールしている状況を紹介している。日米協定の問題点や他国との違いがくっきりと浮かぶ。

 本年度中に小冊子も作り、全国の自治体や図書館に配る予定という。「わが事として感じてもらえたら」。担当者の言葉に切実さがにじむ。

 懸命な取り組みは、世間の無関心や偏見の裏返しでもある。二つある地元紙は昨年、インターネット上などの基地問題を巡る不正確な情報に反論する本を相次ぎ出版した。粘り強い発信に頭が下がるが、苦境にある側が時間と労力を注ぎ込まねばならない現状に、苦い思いがこみ上げる。

 きのうは沖縄で組織的戦闘が終結したことにちなむ「慰霊の日」。本土決戦への時間稼ぎが図られ、県民のおよそ4人に1人が命を落とした。

 それから73年を経てなお、一つの島に過重な負担を押し付ける構造を、私たちは変えられていない。

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