日曜小論

  • 印刷

 伝統野菜は、土地の歴史と食文化が詰まった地域資源だ。多くは存続が危ぶまれているが、食の画一化の時代に地域に残った個性として見直す動きが全国で起きている。

 宍粟市の「宍粟三尺」は、そうした視点で今の時代に問うてみたらおもしろい兵庫のユニークな素材だと思う。

 長さ50センチにもなるかす漬け用キュウリは半世紀前には80ヘクタールで生産され、全国に名をとどろかせていた。だが、食の洋風化で短いサラダ用品種に追いやられ市場から消えた。

 その幻のキュウリがにわかに注目を浴びている。7月に設立総会が開かれた同市の「発酵のまちづくり推進協議会」で地域振興に活用されることになった。

 同市は、播磨国風土記に最古の発酵による酒造りの記述があることから、「日本酒発祥の地」をアピールしてきた。この動きを地域に伝わる漬物や藍染めなど発酵製品全体に広げる狙いがある。

 伝統のかす漬けの技を受け継ぐ加工グループ「こがね丸」では仕込みのピークを迎えている。塩漬けや水気とりなどを繰り返し、8日目にようやくキュウリを酒かすに漬け込む。シャキッとした独特の食感とマイルドで深い風味は丁寧な仕事のたまものだ。

 酒かすは「播州一献」の銘柄で知られる同市の山陽盃酒造のものを使う。PR戦略として宍粟産の日本酒を扱う国内外の料理店に置いてもらうことから始めてはどうか。

 朝倉山椒(さんしょ)(養父市)のように、日本の個性的な伝統食材や調味料への関心が高い欧州にもぜひ挑戦してほしい。酒かすという日本酒の別の魅力を伝える手段にもなる。

 地元では新たな活用法の研究も進む。食べたことがない高校生や大学生の発想も生かせればおもしろいだろう。

 普及には生産拡大が不可欠となる。まずは、原料に使ってこなかった曲がったキュウリを、手ごろな価格の製品作りに活用することに力を入れてもらいたい。

日曜小論の最新

天気(7月6日)

  • 26℃
  • ---℃
  • 90%

  • 29℃
  • ---℃
  • 80%

  • 26℃
  • ---℃
  • 90%

  • 26℃
  • ---℃
  • 90%

お知らせ