日曜小論

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 蒸気機関車から特急電車まで、国鉄とJR西日本で40年以上も運転現場に携わった人の著書がある。

 運転士は担当路線の線路状態、駅の配線、信号の位置や加減速のタイミングなどをすべて頭に入れ、さらに実習を重ねて独り立ちするのだそうだ。筆者は定年退職した後も、大阪駅の「10番線進入の速度制限」や広島駅の「場内信号機の配列」、瀬戸大橋の「列車別の速度制限」などを「即答できる」という。(宇田賢吉「電車の運転」)。

 安全に、時間通りに電車が走る。日常生活では当たり前になっていることが、厳しい訓練を受けたプロフェッショナルの高度な技能に支えられていると痛感する。

 だがそれでも、事故は絶えない。

 先日、横浜市で踏切に立ち往生した大型トラックに電車が衝突し、30人を超す乗客がけがをした。運転士が踏切の異常を知らせる信号を察知し、直ちに非常ブレーキをかければ、電車は踏切の手前で止まるはずだったとされるが、あくまで数字の上の話だ。

 このときの最高時速は120キロ、1秒間で33メートル走る。信号確認からブレーキ操作までの間に、まばたきほどの空白があっても止まりきれない。いくら運転士が自己研さんを重ねていても、機械のような精密さを常に発揮できるという前提に、そもそも無理はなかったか。

 大型トラックの運転にも、電車と同様に高い技量や安全意識が求められる。

 亡くなった運転手はベテランで、過去には通常の走行ルートで荷物を運んでいた。ところが今回はそれを外れて細い道に入り込み、踏切で立ち往生した。

 その理由を探り、対策を取らなければ、同様の事故が繰り返される可能性がある。

 事故の詳細は運輸安全委員会などが調査中だ。誰が悪いか、ばかりでは再発を食い止められない。核心は、どうすれば防げたかの解明だ。

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