日曜小論

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 政権交代で、民主党の鳩山由紀夫内閣が誕生してから丸10年。資料の山をひっくり返してみたら、出てきた。あのころ民主党の閣僚たちがお守りのように携えていたマニフェスト(政権公約)が。

 鳩山さんの顔がアップになった表紙をめくると「民主党政権が政策を実行する手順をご説明します」とある。どの政策を、いつ、どれだけ税金を使って実行していくかを一覧にした4年間の工程表だ。

 子ども手当、公立高校の実質無償化、高速道路の無料化、農家の戸別所得補償…。これら目玉政策に必要な財源は税金の無駄づかいをなくし、国の予算を全て組み替えれば捻出できる、という説明は、今でもよく覚えている。

 政権交代すれば、日本の政治が変わるかもしれない。半年もたたずに現実は甘くないと思い知るのだが、多くの人に期待を抱かせる力がこのマニフェストにはあった。

 よくある選挙公約とどこが違ったのか。掲げた政策をどこまで実行できたか、どんな成果があったかを後日、客観的に検証できる仕組みになっている点だ。

 3カ月後に民主党が初めて手掛けた予算編成に関する記事では、工程表全項目の達成度を担当記者が検証し、「手付かず」「先送り」「尻すぼみ」など厳しいコメントとともに一覧表にしていた。

 これも、元のマニフェストが基本に忠実であろうとしたからできたことだろう。検証と批判を次に生かす仕組みはどの政権にも必要だ。

 政権を奪い返した安倍晋三首相は民主党時代を「悪夢」と非難し、当時政権中枢にいた立憲民主党の枝野幸男代表は自著で「国民に幻想を与えた」と反省している。

 だが「社会全体で子育てする国に」「地域主権確立」などの方向性は今も通用する。夢や理想を現実にしていく政治の可能性を「悪夢」「幻想」と切り捨ててほしくない。

 ぼろぼろになったマニフェストを読み返して思った。

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