論ひょうご

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 今月上旬、フルートの演奏をじっくりと聴く機会を得た。若手の登竜門として知られ、神戸市などが4年に1度開く「第9回神戸国際フルートコンクール」の本選を取材した。清澄(せいちょう)、伸びやか、妖艶…。6人のファイナリストが奏でる音色は、驚くほどさまざまな表情を見せ、聴衆を魅了した。

 「ミュンヘン」「ジュネーブ」と並ぶ世界三大フルートコンクールの一つである。世界トップレベルの優れた才能を数多く発掘してきた。だが、市が「市民への還元や浸透に資していない」として補助金を打ち切り、一時は存続が危ぶまれた。4200万円もの大口の寄付などで開催が実現した。

 そうした経緯もあって、市民にどれだけ浸透できるかが最大の焦点となった。ふたを開けてみると、本選は史上初の満席となる盛況ぶりだった。コンクール全体の入場者数はざっと4千人で、前回より800人以上多かったという。

 約3カ月にわたって、市民参加型の音楽祭を初めて実施した。コンクール出演者による地元小学校での演奏会や、市民ら約300人がフルートで合奏するイベントなど多彩な催しを通じて、目的はかなりの部分で達成できたのではないか。

 コンクールは11日間の日程を終えて幕を閉じた。第10回の節目を迎える次回について、久元喜造市長は補助金の扱いをどうするか明言していない。が、既に市民からは後押しする動きが出ている。地元経済界を中心にした実行委員会が支援コンサートとパーティーをコンクール最終日に開き、収益や協賛金約1千万円を次回財源として市に寄付する予定だ。

 取材を通じて感じたのは、コンクールが「神戸の宝」と言える水準にまでに育っているということだ。今回2人出た1位受賞者の1人、中国のユ・ユアンさんは「参加者のレベルの高さに驚かされた」と会見で述べた。それが、世界中の演奏家が憧れる一因となっている。歴史を重ねるごとに、市の財産としての価値も高まっており、さらに発展する可能性を秘めている。

 今回は存亡の危機に直面したことで注目を集めた。この機運を一過性のものにはしたくない。「宝」を維持するには、支える形を工夫する必要があるだろう。未来を見据えて、どうすればいいかじっくりと議論するチャンスが訪れている。

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