正平調

時計2017/05/14

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高倉健さんに足袋を送ってきた人がいる。故郷の母である。素足に雪駄(せった)姿でヤクザ映画に出る息子を見て、「寒いだろう」と。ジャーナリスト中村竜太郎さんの本「スクープ!」にある◆若いころの話だが、健さんは「あの時は泣けたね」としみじみと語ったそうだ。不遇の時代も「辛抱ばい」と励ましていた。銀幕のスターとなっても義理堅く情に厚かったのは、この母がいたからこそだろう◆サトウハチローさんの「ひとの肩に手を置き」という詩を思い出す。〈ぐうたら〉と自らを表す。でも人の嘆きや悩みに耳を傾け、一緒に涙を流せる。お前のそこがいいよとおっしゃるなら-と続け、こう終える◆〈おそれいりますが/それよりまえに/わたしを このようにした母を/どうか 母をほめてやってください〉。自分一人で生きているかのような血気盛んな年齢を過ぎると、この気持ちが分かる。時代がどれほど移ろうと、社会がいかに変わろうと◆今日は「母の日」だ。数日前、通りがかった花屋さんの店先で、2人の中年男性を見かけた。今日の用意なのか、1人は花束、1人は鉢植えをじっと見ている。あなたがいたから…という思いを後ろ姿に漂わせて◆あの時は泣けたな…。そんなつぶやきまでが伝わってきそうな。2017・5・14

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