正平調

時計2017/05/20

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詭弁(きべん)、強弁にくわしい学者の野崎昭弘さんが小話を紹介している。「見えるものはすべて幻にすぎない」。そんな説を唱える哲学者がインドにいた◆あるとき、象が暴れだし彼は怖くなって逃げた。「お前は幻の象におびえて逃げるのか」と笑われ、その人は答えたそうだ。「あなたは私の幻が逃げたところを見ただけだろう」(「詭弁論理学」中公新書)◆世間の人は不可解な文書を見たようだが「幻」ではないか。文部科学省によると、そういうことになる。学校法人「加計(かけ)学園」の学部新設計画をめぐり明らかになった文書の存在は「確認できなかった」という◆ここの理事長は首相の友人だった。それだけでもいろいろ勘ぐられるのに、内閣府は「総理のご意向だ」として計画を後押しするよう文科省を促した-と文書にはあるらしい。だれも知らない、とはこれいかに◆インドの哲学者は口がうまかった。でも、ここまで達者だと「言葉の強さ」より「言葉の無力さ」を感じる。野崎さんはそう書いている。何とでも言えるじゃないかと◆文科省は担当者への聞き取りなどはしたが、職員個人のパソコンまでは調べなかった。なぜかって? 「省が作成したかどうかが調査の目的だから」。むなしい言葉遊びにも聞こえる。2017・5・20

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