正平調

時計2017/08/13

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大正11(1922)年、いまの養父市に生まれた作家の山田風太郎さんにはふるさとを書いた随想が多い。ある夏の日、母につくってもらった弁当をさげ、友人と遠足にでかけた話がある◆山道で大きなヤマユリの花を見つけ、ぜひとも母にあげたくなった。「お母ちゃん、こんなものがあったよ」。折った花が枯れないように、全力で走って帰ったそうだ◆「これは私の少年のころの、いちばん美しい想(おも)い出」と振り返るのは、その母を中学時代に亡くしたせいもあるだろう。山田さんは5歳のとき、先に父を亡くしている◆お盆休みに入って、帰省の話題をニュースが伝えていた。過労死、パワハラ…と若者の職場環境について、胸のふさがるような記事がこのごろは多い。今年の夏はいつも以上に首を長くして、わが子の帰りを待っていたお母さん、お父さんもいただろう◆20歳のころ、家出同然で上京した山田さんは忍法帖(ちょう)シリーズで人気小説家となった。ただ、古きよき記憶を壊したくないからと、めったに但馬には帰らなかったという◆たまに戻るとさすがに懐かしかったようだ。歩くうち「さまざまな憶(おも)い出がよみがえってきて、ヒョイと涙が浮かぶよう」-そう書いたこともあった。いつの世も、ふるさとは美しきかな。2017・8・13

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