正平調

時計2017/10/12

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作家石牟礼(いしむれ)道子さんは「天」の字が好きだという。「人」に二つの横線が重なるので、地上に立ち、天から降りてくる何かを受け取るように見えると、随筆集の「花びら供養」にある◆水俣病と向き合いながら、天に祈ることも多かったのだろう。〈祈るべき天とおもえど天の病む〉と苦い一句を詠みながらも、つらい気持ちが和らぐような何かを待っていた。おそらく、この約3800人も◆国と東京電力に損害賠償を求めた原発事故の被災者である。原告の多さ、さらに地元の福島地裁ということもあって注目した。国の責任も認め、救済範囲を広げる判決だったから、降りてきたものはずしりと重い◆判決文にある「平穏生活権」が印象深い。そこで生まれ、なりわいを営み、家族と暮らし、地域住民とかかわって幸福を求める。思えば当たり前の権利である。原発事故はそんな穏やかで幸せな日々を奪った◆〈新宿駅西口コインロッカーの中のひとつは海の音する〉山田富士郎。都会のまっただ中。だれがしまい込んだか、海の音まで入っている。自然へのあこがれ、ひとときの白日夢…といろんな読み方ができそうだ◆原発訴訟の判決を目にした後ではこうも読める。避難を強いられた被災者が望郷の念とともに収めた潮騒か。2017・10・12

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