正平調

時計2019/02/19

  • 印刷

これほど荒れていようとは想像もしていなかった。姫路市の書写山麓に作家椎名麟三(1911~73年)の旧居を訪ねた。大正時代にできた家は老朽化し、植物が生え、窓ガラスが割れ、畳や床の傷みが激しい◆「深夜の酒宴」「美しい女」「自由の彼方(かなた)で」などで知られる戦後文学の旗手は、多感な少年時代をここで過ごした。〈私の家は、女人堂という寺へ行く石段のたもとに建てられていた〉(「菱の花」)。旧居前の文学碑にこう刻まれている◆母が設計したという内部はモダンな造りで日当たり良好。15歳での家出後の苦難の印象が強いが、この明るい家で少年は勉学に励み、旧制姫路中学校に通った◆作家の生まれ育った町を歩くと、作品世界が身近に感じられることが多い。家や書斎を活用した記念館に行けば創作する姿が生々しく迫ってくる◆姫路文学館には播磨ゆかりの文人たちを紹介するコーナーがある。遺品や原稿とともにタッチ画面による解説があり、分かりやすい。ただ限られたスペースの展示で、迫力に乏しいのが残念だ◆3月28日は椎名の命日。例年、「自由忌」と銘打って地元の「椎名麟三を語る会」が顕彰の集いを開いてきた。作家の原点が刻まれた旧居を保存・活用する手だてはないものだろうか。2019・2・19

正平調の最新
もっと見る

天気(8月25日)

  • 31℃
  • ---℃
  • 20%

  • 31℃
  • ---℃
  • 20%

  • 31℃
  • ---℃
  • 20%

  • 33℃
  • ---℃
  • 20%

お知らせ