正平調

時計2019/03/10

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倒幕の陰謀をめぐる吉川英治の長編小説「鳴門秘帖(ひちょう)」は、今読んでも心躍る。主人公はめっぽう強く、しかも美剣士ときている。それで江戸から阿波へハラハラ続きだから飽きない◆終盤に盛り上がる舞台は、もちろん鳴門海峡である。「渦潮百千の鼓の遠音(とおね)とも聞こえる」「乱岩(らんがん)に散る波の銀屑(ぎんせつ)である。そして白い無数の渦潮、あるいは青黒い渦である」。作家の筆までが跳ねているかのよう◆高ぶりというなら地元も負けていない。兵庫と徳島が協力し、渦潮を世界遺産にという運動が進む。紙面を繰れば、運動を紹介する記事が初めて載ったのは21年前だ。それから一段、また一段と上がってきた◆南あわじ市で開かれた先日の国際シンポジウムでは、他国との連携が話題になった。規模は違うものの、ノルウェーなどにも名所があるからだ。かつて井戸兵庫県知事がこうした国々との共同申請に触れていたが、シンポでも同じ意見が出たようだ。海外の調査も踏まえ、最高の案を練ってほしい◆「鳴門秘帖」は何度も映画やドラマになってきた。昨年、BSでドラマにしたNHKのうたい文句。「陰謀渦巻く争い」「恋の渦」「欲望の渦」…と渦づくしである◆だったら、世界遺産を夢見るうたい文句はこれしかない。希望の渦。2019・3・10

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