正平調

時計2019/03/17

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「きてみて」という詩がある。〈きてみて そしてさわってみて/ほらここにいた いっぱいのなみだ/だれかさわってくれるのを/ただひたすらまっていた…〉。堀江菜穂子さんの詩集「いきていてこそ」に収められている◆詩集によれば、堀江さんには重度の脳性まひがある。ベッドで紡がれたという詩を読みながら、〈いっぱいのなみだ〉や〈まっていた〉が胸に迫るのは、紙面で多くの障害者の涙に接してきたからかもしれない◆旧優生保護法下で、不妊手術を受けさせられた障害者らはおよそ2万5千人といわれる。「わが子を抱きたかった」「人の子を見るのがつらい」。その怒りと悲しみは当事者の言葉から想像するよりほかはない◆与野党がどうにか救済法案をまとめ上げ、4月に成立の運びという。被害者へのおわびを明記し、一時金320万円を支払うそうだが、どうだろう。反発の声があがる◆障害を理由に子どもを産み育てることが許されず、体にメスを入れられた。いくらお金を積まれようと、奪われたものの大きさに見合うはずもないが、それにしても「たったこれだけ…」とは当然の心情だろう◆堀江さんの詩は、次のように結ばれる。〈きてみて そして心にさわって〉。心の救済に、終わりはない。2019・3・17

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