正平調

時計2019/03/18

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400ページ近い学術書だが出版後3カ月で3刷になった。神戸大学研究員・村上しほりさんの近著「神戸 闇市からの復興」だ。一昨年に「古都の占領」を出した西川祐子さんも京都新聞大賞を受けた◆近年、戦災復興期・占領期への関心が高まっているようにみえる。進駐軍、闇市、孤児、街娼(がいしょう)など戦後都市に共通する記憶。それを引き継がねばと思う人が多いからだろうか◆〈娼婦またよきか熟れたる柿食うぶ〉〈黒人と踊る手さきやさくら散る〉〈夏みかん酸つぱしいまさら純潔など〉。当時の空気を伝えるこんな句がある◆作者は鈴木しづ子。東京に生まれ、就職先の句会で俳句に熱中するが、婚約者が戦死。結婚、離婚などを経て岐阜でダンサーに。そこで恋に落ちた米兵は朝鮮戦争から帰還後に死亡。まさに戦争に翻弄(ほんろう)された◆1952年、句集を世に問うた後に消息不明となる。今年は生誕100年を迎えるが、生死さえも分からない。パーマにヘアバンド、濃い口紅の肖像写真が残る◆当時10代だった俳人の宇多(うだ)喜代子さんは、その写真を最初に見たとき既視感に襲われたという。「戦後、多くの普通の女性がダンサーになったり、街娼になったりして生き抜いた」。そんな無数の女性たちがいたこともそっと記憶に刻む。2019・3・18

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