正平調

時計2019/08/05

  • 印刷

没後半年あまりたっても新刊や講演録が世に出る。1月に93歳で亡くなった哲学者の梅原猛さんが今も健在で発言を重ねているように錯覚してしまう◆姫路文学館は季刊のニュースレターに30年前の講演を再録した。第1回和辻哲郎文化賞授賞式の際の基調講演だ。播磨の知的風土を鮮やかに分析して興味深い◆柳田國男、和辻哲郎、三木清、三木露風、椎名麟三、阿部知二、司馬遼太郎。きら星のような名前を挙げながら、「重たい思弁でなく、この播磨の知性は軽快なのです。明晰(めいせき)です」◆中でも共感を寄せたのが姫路市出身の哲学者の和辻だった。京都の旧和辻邸に住み、姫路市が創設した和辻哲郎賞の選考委員を終生務めた。歴史、文学、民俗学、考古学に及んだ業績を指して新鮮で独創的な「直観」と評価した◆その言葉は梅原さんにこそふさわしい。歴史の定説を覆す数々の作品を問うた。万葉の歌人、明石ゆかりの柿本人麻呂は流罪となり、刑死したという説は衝撃だった。「藻くずをいっぱい身にまとって、石見国の海の水底深く沈んだ姿が見えた」と著書「万葉を考える」で書く◆東日本大震災以降、脱原発を強調し、憲法9条に「未来の人類への理想」を重ねた。梅原日本学はこれからも光を放ち続けるに違いない。2019・8・5

正平調の最新
もっと見る

天気(9月18日)

  • 30℃
  • ---℃
  • 20%

  • 28℃
  • ---℃
  • 20%

  • 29℃
  • ---℃
  • 20%

  • 29℃
  • ---℃
  • 30%

お知らせ