正平調

時計2019/08/12

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井戸掘りの手伝いをした。底の人がスコップで土をバケツに入れる。引き揚げて外の人が運び出す。ひと作業が終わると、穴の周りを固める木枠に人が乗る。掘った分だけ木枠が沈み、歓声が出る◆ここは大阪市西成区の下町、商店街に面したゲストハウス「ココルーム」の裏庭。宿を運営するNPO法人が、誰もが学べる市民講座「釜ヶ崎芸術大学」のプロジェクトとして井戸を掘っている◆NPOの代表で詩人の上田假奈代(かなよ)さんには、アフガニスタンの支援に携わった知人がいる。現地の伝統的な井戸は枯れても住民の手で直せる。そんな話を聞いたのがきっかけだった◆「命を支える水を自分の手で汲(く)んでみたい」。作業を始めたのは今年4月。宿のスタッフや旅行者らのほか、元日雇い労働者の「釜ケ崎のおじさん」が昔の道具を手にやって来た◆おじさんのスコップさばきは見事だった。尊敬の目で見られ、会社がつぶれて家を失ったことを初めて語った。「釜ケ崎は高齢化している。ここで生きてきた人の話を聞き、大事に伝えたい」と上田さんは言う◆参加した女子学生は「穴の底は涼しい」と驚いた。一人一人が泥で汚れながら小さな発見を重ねている。秋の完成に向け、多くの人がつながり力を合わせる姿がまぶしい。2019・8・12

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