正平調

時計2019/08/15

  • 印刷

女優の高峰秀子さんは21歳で終戦を迎えた。慰問先の航空隊で聞いた玉音放送の思い出を随筆に書き残している◆ラジオは雑音がひどく聞き取れない。だが放送が終わると、1人の将校が台に飛び上がって叫んだそうだ。「という次第であるから、われわれ軍、官民はァ、いっそう心を一つにして、必勝の精神を固めなければならない。分かったか!」◆昭和20年8月15日。天皇が国民に終戦を告げるラジオ放送が流れた。胸に青空の広がった人が多かったろうが、この将校のようにこぶしを握り直した人も。ガーガーと聞きづらいラジオの前はさまざまである◆5年前の推計で、戦後生まれが初めて人口の8割を超えた。玉音放送を聞いた人も減り続ける一方だ。どこで、どんな思いで耳を澄ましたか。知る世代はもっと伝えてほしいし、戦後世代はその声に耳を傾けたい◆大岡昇平の「野火」はフィリピン戦線を舞台に敗残兵の飢えや孤独を生々しく描いた作品だ。「戦争を知らない人間は、半分は子供である」というくだりが心に残る◆悲しい記憶は薄れ、戦争で領土を取り返すことの是非を衆院議員が軽々しく口にする時代だ。「野火」のくだりを今風にすればこうなるか。「戦争を知ろうともしない人間は、半分は子供である」2019・8・15

正平調の最新
もっと見る

天気(9月19日)

  • 28℃
  • 23℃
  • 10%

  • 25℃
  • 21℃
  • 30%

  • 29℃
  • 21℃
  • 10%

  • 28℃
  • 21℃
  • 20%

お知らせ