正平調

時計2019/08/26

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今年も本紙明石総局主催のスズムシ学校でスズムシの赤ちゃん数十匹をもらい、自宅で育てている。夏の甲子園が開幕した頃に鳴き始め、今は連夜、リーンリーンの大合唱を聞いて眠る◆観察していると、もそもそと体をよじらせているメスがいた。脱皮だ。その見事さに舌を巻く。長い触覚から前羽のしわ、針よりも細い尾毛(びもう)まで、生きている姿そのままに脱ぎ捨てる。竹串の先につかまり、重力を利用して真っ白な羽を伸ばす。この間、約15分◆夏の甲子園、明石商の快進撃はベスト4で終わった。スタンドで聞いた印象深い言葉がある。昨夏、初出場の初戦で東北の強豪に8対9で惜敗した先輩の感慨だ◆「去年は負けて悔しかったけれど、いい試合をした達成感もあった。でも後輩たちは、負けて満足するなんてレベルを超えている」。見事な戦いぶりに、チームが一皮むけたのを実感したのだろう◆海へ山へ、川へプールへ。あちこち忙しく駆け回った小学生たちが、道端で自慢するのを聞いた。「おれ、2回皮むけた」。むけた直後の新しい皮ふが、もう真っ赤に日焼けしていた◆いつもより短い夏休みが終わり、きょうから2学期の地域もある。ひと夏の成長を大人はよーく観察しよう。「抜け殻」が見えるかもしれない。2019・8・26

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