正平調

時計2019/08/30

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自然界にも知力がある。そう語ったのは明治生まれの数学者、岡潔である。小川に美しいせせらぎが生じるのも、水の一滴一滴が流れていく方向や速さを瞬時に判断しているからだと◆つまりは水にせよ、何にせよ「物質には、非常に難しい数学上の計算をただちにしてしまうような知力があると思うほかない」(新潮文庫「数学する人生」)。その能力は人間をはるかに超えているとも述べた◆いかにも数学者らしい発想だが、確かに言われてみれば川のせせらぎ一つ、雲の流れ一つにも人知ではとても計れぬ自然の算式が隠れている。その算式にスピード計算で挑むのがスーパーコンピューターである◆神戸の「京(けい)」は1秒間に1京回の計算ができたことで、これまで見えなかったさまざまな観測を可能にしたという。例えば豪雨につながる雲の細かい動きであったり、大昔の地球から月が生まれる様子だったり◆災害や宇宙、あるいは人体の不思議と幅広い分野で功績を上げてきた「京」が世代交代のときを迎えた。きょう、電源が落とされる。あとを託す後継機の「富岳(ふがく)」には、京の100倍の性能が期待されるらしい◆楽しみである。算式には弱いけれど「富嶽百景」ならぬ「富岳100京」、そう覚えて出番を待つとしよう。2019・8・30

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