正平調

時計2019/09/10

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切れ味鋭い“さわやか流”で知られた将棋の永世棋聖、米長邦雄さんは「惜福」の言葉を好んで揮毫(きごう)したという。与えられた福を使い切ってしまわず、天に預けておくくらいでいいと◆伊藤能さんの著「棋士 米長邦雄名言集」に学んだ。勝負運に恵まれているときほどわれを見失わず、勝因をしっかりと分析、蓄積しておけば、スランプに陥ってもきっと立ち直れる。およそそんな意味だろう◆その女流棋士も「惜福」の人かもしれない。16歳で初タイトルをとり、その後は五冠に登り詰めたものの、体調不良もあって一時は一冠にまで後退している。天から福、いや、イナズマ再び、の復活ぶりである◆出身地と終盤の攻めの強さから“出雲のイナズマ”と呼ばれる里見香奈さんが新タイトルである「清麗」をとり、史上初の女流六冠となった。あと一つに迫った全七冠制覇となるかどうか、さらに注目が集まる◆座右の銘がいい。「好きな道なら楽しく歩く」。かつては「何としても勝つ」と思っていたが、経験を積むうち「どうすれば自分の力を出せるか」を考えるようになったそうだ。まだまだ福がたまりそうである◆〈いさぎよき天の剥落いなびかり〉(苅谷敬一)。火花を散らす盤上の戦いから、しばらくは目が離せない。2019・9・10

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