正平調

時計2019/09/13

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空襲で焼け出され、電気も水道もない掘っ立て小屋に暮らした。どうにか新居に移れた3年後、「今晩から電気がともる様にしてくれた…」。喜びを作家の内田百閒(ひゃっけん)が書きとめている◆1948(昭和23)年6月の日記によれば、電気工事の人が来てくれたその日は何年ぶりかで家の風呂にも入ったらしい(「百鬼園戦後日記」より)。やれやれ-と、その人のつぶやきが聞こえてきそうである◆電気を頼りとする暮らしは、当時の比ではあるまい。4日前に首都圏を直撃した台風15号による大規模停電が千葉県で続く。すべて復旧するのはきょう以降になるといい、そのうえ、断水しているところも多い◆秋はどこへ行った。そう毒づきたくなる残暑が追い打ちをかけた。熱中症の疑いで亡くなった方がいる。冷房なし、風呂なしの暗くて眠れぬ夜に住民の疲労といらだちは限界まで達していよう。支援を急ぎたい◆雨風が吹き込まない新宅で「ありがたさが身にしみる」と百閒はつづった。住まいはもちろんそうだが、命をつなぐ「ライフライン」の何とありがたくて、何と脆弱(ぜいじゃく)なことか。災害のたびに思い知らされている◆復旧が遅れた反省や教訓は後でしっかり検証するとして、安堵(あんど)の「やれやれ」が一刻も早く聞けるよう願う。2019・9・13

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