正平調

時計2019/10/13

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都から遠く離れて暮らす少女がいよいよ京へと上り、夢にまで見た「源氏物語」を手にする。かな文学が花を咲かせた平安の昔、菅原孝標(すがわらのたかすえ)の娘がその半生をつづった「更級日記」である◆室内にこもり、昼はもちろんのこと、夜も火をともしてまぶたが重くなるまで読みふける。その至福の心地といったら「后(きさき)の位も何にかはせむ」。后になるより幸せというのだから、よほどの興奮ぶりとみえる◆源氏物語を研究していたり、愛読したりしている人たちにとっては「后の位も何にかはせむ」、それくらいの感激で接したニュースかもしれない。鎌倉時代の歌人、藤原定家の手による写本が新たに見つかった◆作者である紫式部の自筆は残っておらず、物語は書き写されて伝えられる。いまもある最古の写本は「青表紙本」といわれる定家のもの。これまでに4冊が見つかっているが、実に約80年ぶりの新発見だという◆与謝野晶子に谷崎潤一郎。田辺聖子さん、瀬戸内寂聴さん…。名だたる作家が現代語訳を手がけてきただけでなく、海外にも広く翻訳される。もしノーベル“古典”文学賞があったなら、有力候補にちがいない◆よし、ひとつ通読してやろう。そう思って手にすることはあるけれど、本の厚みにいつもひるんでしまう。2019・10・13

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