正平調

時計2019/10/20

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不思議な歌である。売れに売れたわけではない。しかしジャンルに関係なく、実力派の歌手が競うように歌い継ぎ、今月で誕生から60年になった◆「黄昏(たそがれ)のビギン」という。雨に濡(ぬ)れてた たそがれの街…が舞台だ。出会った男と女が歩き、木陰でキスを交わすまでの短い物語である。永六輔さんが作詞し、作曲は中村八大さん。聞き入ってしまう◆最初に水原弘さんが歌ったときはレコードのB面だから、期待されての船出ではない。ところがその約30年後、ちあきなおみさんが歌って火がついた。音楽プロデューサー佐藤剛(ごう)さんの著書によれば、その後も表現力に自信のある歌い手たちが挑み続ける◆登場するのは、中村美律子さん、憂歌団の木村充揮(あつき)さん、石川さゆりさん、さだまさしさん、菅原洋一さん、中森明菜さん。薬師丸ひろ子さんが「ようやく歌えるくらいに大人になった」と話すのが印象深い◆ミュージシャン大瀧詠一さんの指摘を思い出す。音楽を作る側がヒットを作ったことは一度もない。ヒット曲はいつも「聞く人が作った」(「ヒットの崩壊」柴那典(とものり)著)◆では「黄昏のビギン」を支えてきたものは何だろう。古いものは新しいものに追いやられがちな世界で、失ってはいけない大人の味か…と考えてみる。2019・10・20

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