正平調

時計2019/10/30

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国連の副事務総長。または日本の外務大臣。打診されたポストはなりたくて、誰でもなれる役職ではない。緒方貞子さんはいずれも固辞した。いまは目の前の仕事を全うしたい、と◆国連難民高等弁務官だった20世紀の最後の10年、「マダム・オガタ」は世界で最も名の知れた日本人の一人だったろう。助けを求める難民がいるところ、恐れず足を運んだその人を誇らしく見つめたものである◆自分の目で、耳でじかに確かめなくては何も分からない。言うはやさしく行うは難しい現場主義を貫いた。旧ユーゴスラビアのコソボ紛争の難民と接したときのことを、NHKのインタビューで振り返っている◆小さな男の子がちょこちょこと自分の後をついてきた。「ミセス・オガタ。僕をうちに連れて帰ってくれるよね?」。戦闘のあった村から逃れてきたらしい。「もちろん」。答えながら、胸が熱くなったという◆新婚のころは夫の勤め先が大阪で、六甲に家を借りたと回顧している。阪神・淡路大震災の仮設住宅がコソボに送られたときには「災害も紛争も人の苦しみは同じ」だと連帯を呼びかけた。こちらとの縁も深い◆92歳。きのう訃報を聞く。伝える記事にいくつもの国の名を見た。世界地図を広げ、その偉大な足跡をたどる。2019・10・30

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