正平調

時計2019/11/01

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「万国津梁(しんりょう)の鐘」という。首里城の広場に展示されたその鐘の複製を見たことがある。もとは琉球王のいる正殿にかけられていた。〈琉球国は南海の勝地にして…〉と漢文で刻まれる◆〈舟楫(しゅうしゅう)をもって万国の津梁となし/異産至宝は十方刹(じっぽうさつ)に充満せり〉。われわれは諸外国に橋をかけるように船を通わせ、国には宝物があふれている、と。交易によって築かれたかつての繁栄ぶりを語っていよう◆鐘は15世紀につくられたが、城はのち悲史の色を濃くする。薩摩の侵攻、明治政府への明け渡し、沖縄戦での焼失…。ともにあり、ともに泣き、ウチナンチューの心のよりどころとなった。それが首里城である◆激しく炎上し、音をたてて崩れていくテレビの映像から「ああっ」という声ともならない声が聞こえた。観光で訪れたことがあるだけでも絶句したのに、シンボルを失った沖縄県民の衝撃と失意はいかばかりか◆青い空に美しく映えた、あの雄姿をもう一度-。願いをこめて復元されたのは本土復帰20年のときである。北殿や南殿に使われた赤がわらの裏には「首里城公園友の会」に出資した人たちの名が記されたそうだ◆もう一度、と願う。希望のアーチをいくつもかけるように手を差し伸べたい。万国津梁の鐘を心に鳴らして。2019・11・1

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